今回は韓国のヘルメットメーカー 「HJC(エイチジェーシー)」を紹介していく。
バイク用品店にも数多く並び、motoGP等のモータースポーツシーンでも使われているのでご存知の方も多いと思う。
しかし、海外(韓国)のメーカーなので評判が気になったり、安全面について、そして品質に不安を覚える方も少なくないメーカーとも言える。
そんな気になるHJCの簡単な歴史を振り返り、ヘルメットのラインナップには取得している安全規格、そしてワイズギアとの比較も紹介していきます。
またHJCの売りの一つである豊富なコラボレーションモデルも紹介。
話題の映画やキャラクターとのコラボレーションモデルが多く発売しているのでファンの方は押さえておきたいアイテムがみつかるかも。
【 目次:Contents 】
HJCとは
今や世界的に有名となった韓国のヘルメットメーカー。創立されたのは今から約50年前の1971年。当時は縫製工場であり、オートバイ用のレザージャケット、レザーパンツ、グローブなどを製造する「ホン・ジン企業」という名前だった。
1974年からヘルメットの製造を始め、わずか4年後の1978年には韓国のヘルメットシェアNo. 1となる。
打倒日本のメーカー(アライ・ショウエイ)としてるらしく日本のメーカーより種類が豊富、サイズが細かく設定、そして安い、を売りにしている。
HJC 公式ホームページによると、その目標は1992年に達成出来ているようだ。
「1992年に北米市場で日本を抜いてシェア1位を達成しました。また、2001年に欧州市場にも本格的に進出して、その年に、世界市場シェア1位を達成し、現在までに世界1位の座を堅固に守っています。」
しかしこの情報、どのような統計でこのような結果がわかったのかは不明。
だが
世界中で多くのシェアがあるのは確かで、世界各地(アメリカ・ヨーロッパ・中国・HJCベトナム)に製造工場がある。
特にHJCのプレミアム・ラインヘルメット RPHA(アルファ)シリーズは韓国工場の専用ラインによって製造されている。
ちなみに現在は自転車用・二輪用・四輪用のヘルメットを展開している。
四輪用ヘルメット
自転車用ヘルメット
レースの世界へ
2016年、HJCはMotoGPレースイベントのタイトルスポンサーとなる。
HJCの契約選手には、MotoGPライダーのカル・クラッチローとアンドレア・イアンノーネのほか、ホルヘ・ロレンソなどがあげられる。
HJCをより一層有名にさせた事件がある。イタリアを代表する世界最高峰のGPライダーホルヘ・ロレンソがこの事件の被害者。
ロレンソは2012年までNOLAN(X-lite)を使用。その後HJCと契約し、1回目の更新をした直後の2015年シーズン。
カタールGP決勝にて内装が剥がれ視界を奪われるアクシデントに見舞われる。結果はそれでも4位になる。
同年シルヴァーストーン決勝にてシールドが曇り視界を奪われる。結果はそれでも4位。
翌年の2016年シーズンにはSHARKと契約することになる。
HJCヘルメットのサイズ感
海外のヘルメットを購入する際に気をつけたい「サイズ感」
欧州のメーカーなどでは欧米人の頭の形に合わせて面長の内装になっているためアジア人の頭だと窮屈に感じることが多い。
しかしHJCは韓国のメーカー。
同じアジア人ということもあるので日本のメーカーのサイズ感とそう変わりないとの声が多い。
そして輸入販売元の「RS TAICHI(アールエス タイチ)」が正規販売しているHJCのヘルメットは、『JAPAN FIT』という日本人向けのオリジナル内装を装備しているとのこと。
ネットで購入する際に見分けるときは[SG・JIS・ MFJ公認]などの日本の規格が取得していることを確認してほしい。
サイズが合わないなどのトラブルを避ける可能性が上がるので。
ヘルメット紹介
RPHA 11 (フルフェイスタイプ)
・2017年4月発売
・フルフェイスタイプ
HJCのプレミアムライン RPHA(アルファ)シリーズのハイエンドモデルがRPHA 11。
強度と軽さを併せ持つシェル構造。重量は1470g程度(Lサイズ)とフルフェイスタイプにしてはまずまずの軽さ。
- ベンチレーション搭載
- メガネスリット付の内装
- 曇り防止のアンチフォグシールドが装備
- SG・JIS・MFJ公認の安全規格
機能は他のメーカーのハイエンドモデルフルフェイスタイプとそんなに大きな差はない。
が、価格という面でみると大きな差が出てくる。
打倒日本のメーカー ということでアライ、ショウエイのハイエンドフルフェイスタイプと比較してみると
アライ | RX-7X | \47,790 |
ショウエイ | X-Fourteen | \49,134 |
HJC | RPHA 11 | \32,784 |
Amazon 2018年11月時点
アライ、ショウエイが5万円近いのに対してHJCは3万円台前半。恐るべし。
日本のメーカーにしておこうかな程度の気持ちならこの値段とHJCの知名度とシェアを考えると簡単に覆ってしまいそう。
ちなみカーボンモデルも存在し、軽さは脅威の1300g(Lサイズ)
しかしまあまあ高い値段設定になっている。
RPHA 70 (フルフェイスタイプ)
・2018年4月発売
・フルフェイスタイプ
RPHAの性能にインナーサンバイザーを付けたツーリング重視のフルフェイスタイプ。
RPHA11同様、軽量&コンパクトはそのままにインナーサンバイザー装備。安全規格はSG、JISのみでMFJ公認ではないのでサーキットユース目的じゃなく、高性能なフルフェイスでツーリングを満喫したい方にはRPHA11よりもRPHA70がおすすめできる。
もちろんアンチフォグシールドも付属している。
値段はRPHA11よりすこし高め
IS-17 (フルフェイスタイプ)
・フルフェイスタイプ
インナーサンバイザー・バックル式のアゴひもを搭載したツーリング向けフルフェイスヘルメットのスタンダードモデル。
必要十分な性能をそのままに価格を抑えたスタンダードフルフェイスタイプ。アンチフォグシールドも付属している。
素早い脱着が可能なバックル式のアゴひもを採用しているが、バックルがのどに当たって痛いという口コミをたびたび見かける。
HJCブランド+フルフェイス+サンバイザー装備ということを考えるとOGK KABUTO並みのコスパを持っているので試着してバックルが気にならなければ買い、なヘルメット。
ちなみに有名な話だが、ヤマハの純正アクセサリーメーカー Y’s gear(ワイズギア)のヘルメットにHJCのヘルメットがOEMとして採用されているものが多い。(全てではないが)
このIS-17 もワイズギアで採用されておりYF-9という名前で販売されている。
価格はYF-9の方が少し安い1万8000円程度。カラーリングがシンプルな物しかないので、グラフィックの好み、ブランド、価格を含めて購入の検討してみてほしい。
CS-15 (フルフェイスタイプ)
・2017年4月発売
・フルフェイスタイプ
RS TAICHIが正規輸入しているフルフェイスタイプのラインナップの中で最もスタンダードなモデル。もちろん安い。
- 脱着式の内装
- メガネスリット
- JIS・SG
と特筆すべき性能はまったくない。アンチフォグシールドも別売り。
ヘルメットの大きさは小さいほうではないが見た目より軽いと評判。
世界的に有名なメーカーのフルフェイスタイプの値段としては破格。そしてグラフィックモデルのラインナップも豊富なのでセカンドヘルメットや、街乗りように持っておくのも良いだろう。
スターウォーズ・スパイダーマンのコラボレーションモデルもあるのでチェックしておこう。
RPHA 90 (システムタイプ)
・システムタイプ
HJCプレミアムラインのRPHA(アルファ)シリーズの名を持つシステムタイプヘルメットRPHA90。
- インナーサンバイザー装備
- 曇り防止アンチフォグシールド標準装備
- 良く効くベンチレーション
- 空力性能を高めたフォルム
- 脱着しやすいラチェット式のアゴひも
ハイエンドシステムタイプヘルメットの比較対象となるのはおそらくショウエイのNEOTECHⅡ。
性能にそこまで差を見つけることはできないがやはり目に見えて変わってくるのが価格。
SHOEI | NEOTECHⅡ | 約 5万4000円 |
HJC | RPHA90 | 約 4万3000円 |
この差を国産だから良しとするか、他のバイク用品に充てるのかが分かれ道。
コラボレーションモデル、スターウォーズのダースベイダーが数量限定で発売されている。
IS-MAXⅡ (システムタイプ)
・2016年7月発売
・システムタイプ
こちらでも紹介したIS-MAXⅡ。
基本的な性能は備えつつRPHA90よりかなりお求めやすい価格に抑えたベーシックライン。
- インナーサンバイザー装備
- 低重心のかぶり心地で重さを感じにくい
- ほどほどに効くベンチレーション
- PINロックシートはオプション別売り
- 安い
ヘルメットの大きさはシステムタイプにしては小さめ。海外のメーカー品だがメガネスリットがちゃんとついていたりシールドが簡単に取り外せる等細部の作りこみがしっかりとしている。
欠点としては内装の頬にあたる部分だけ取外し出来ない。
一番評価したいのは価格。定価でも2万7500円とかなり安い設定。2018年8月時点のAmazonだと2万3000円。世界でのシェアを伸ばしているメーカーの企業努力をひしひしと感じる。
このIS-MAXⅡ もワイズギアで採用されておりYJ-19という名前で販売されている。
価格はYJ-19の方が少し安い1万8000円程度。カラーリングがシンプルな物しかないので、グラフィックの好み、ブランド、価格を含めて購入の検討してみてほしい。
IS-33Ⅱ (ジェットタイプ)
・2017年6月発売
・ジェットタイプ
- インナーサンバイザー装備
- ピンロックシート取付可能(別売り)
- ラチェット式アゴひも
- 内装フル脱着可能
これらがIS-33Ⅱの機能だがほぼ同等の性能で比較対象となるのがOGK KABUTOのASAGI
OGK KABUTO | ASAGI | 1万8400円 |
HJC | IS-33Ⅱ | 1万6100円 |
価格の差は4000円近く。
ほぼ同等のスペックなのであとはメーカーの好み。
FG-70s (ジェットタイプ)
・ジェットタイプ
- 格納型のシールド機能搭載
- 軽さ・コンパクトの両立でファッション性高い
- サングラスやメガネをしてても使えるシールド
- 脱着式の内装
- バックルタイプのアゴひも
SHOEIのJ・OにそっくりなFG-70s。
決定的な違いは汎用のシールド・バイザーを取付できるようにボタンが付いている。
もちろん忘れてはいけないのが値段の差。
ショウエイのJ・Oが3万円近くするのに対して
FG-70sは1万7000円程度。
正直なところ、作りや安全性はショウエイの方が圧倒的に信頼できるが、値段の安さ、そしてスターウォーズが好きな私はこれらを見なかったことには出来ない。
DS-X1 (オフロードタイプ)
・オフロードタイプ
シールド付きのオフロードタイプモデル。つまりデュアルパーパスタイプのヘルメット。
国産で対抗馬となるモデルは
- アライのツアークロス3
- ショウエイ、HONET ADV
- WINSのX-ROAD
あたりだろうか。
簡単に比較してみると
Arai | TOUR CROSS 3 | アライの安全性 | 3万5000円程 |
SHOEI | HONET ADV | シールド付けたままのゴーグル使用可能 | 3万9000円程 |
WINS | X-ROAD | インナーサンバイザー装備 | 2万2000円程 |
HJC | DS-X1 | 安い | 1万6000円程 |
基本的な性能は押さえてある(アンチフォグシールドは別売り)ことを考えるとやはりとてつもなく安い。
必要最低限の機能でいい、メーカーにこだわりはない方はこちらが選択肢にはいってくるだろう。
FG-MX (オフロードタイプ)
・オフロードタイプ
HJCが誇るオフロードタイプヘルメットの最高峰がFG-MX。
SG・JISのほかにMFJ公認・SNELL2015を取得していることからその本気度が伝わると思う。
SHOEI | VFX-WR | JIS/MFJ公認 | 4万4000円程度 |
Arai | V-CROSS4 | JIS/SNELL | 3万6000円程度 |
HJC | FG-MX | JIS/SG/SNELL/MFJ | 2万6000円程度 |
取得している安全規格で国内メーカーと比較。
取得している種類はHJCが一番多く、やはり価格も一番安い。
レースで使用を考えている、安全性重視なら一番コストパフォーマンスに優れるといえる。
個人的にあまり魅力的なグラフィックモデルがないのが残念だが、好みが合うものがあれば押さえておきたいヘルメットの一つ。
CS-MXⅡ(オフロードタイプ)
・2016年7月
・オフロードタイプ
HJCのオフロードヘルメットハイエンドモデル FG-MXよりもツーリング向けに作られたのがこのCS-MXⅡ。
FG-MXはファイバーグラスで作られているのに対してCS-MXⅡはポリカーボネートで出来ている。そのため価格もFG-MXより安い、が軽さはほぼ変わらない。
安全規格はJIS・SG・MFJ公認となっているためレースでの使用も可能。
FG-MXより材質が劣り、SNELL規格もないがそこが気にならなければ十分こちらでも戦えるヘルメット。
グラフィックモデルの種類もこちらの方が多く、なんといってもスターウォーズのコラボレーションモデルがあるのが魅力。
まとめ
打倒日本のメーカーとして成長してきたHJC。
ラインナップの多さ、サイズの取り扱いの多さ、価格の安さを武器に世界各地でシェアを伸ばしている。
個人的にはMADE IN JAPAN のヘルメットの魅力にはまだ届かない印象ではあるが、映画好きな自分にはコラボレーションモデルが魅力的すぎる
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それではまた別の話で。
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