今回の話は、ヘルメットの関する法律の話。
みなさんが普段使用しているヘルメットに何かしら「マークがついたシール」がついていると思うが、この意味をしっかり理解している人は正直少ない。
2019年の「OGK KABUTO JIS認証取消し」事件においても、
SNS上では「自分が持っているkabutoのヘルメットはもう使えないの?」などの声が見られた。
正しい知識を持っていたらこのような「間違った心配」をする必要ないのでぜひ読んでみて欲しい。
【 目次:Contents 】
道路交通法が定めるヘルメットの基準
道路交通法では乗車用ヘルメットの基準以下7項目が定められている。
- 左右、上下の視野が十分とれること。
- 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
- 著しく聴力を損ねない構造であること。
- 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
- 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
- 重量が二キログラム以下であること。
- 体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
注目すべきところはヘルメット自体の形や重さ、視認性や顎ひもについて書かれているが、「PSCマーク、SGマーク、DOTやECE、SNELL」などの安全規格のことには一切触れていない。
安全規格の話でも少し触れたが、安全規格が取得されていないヘルメットでも上の7項目に違反してなければ道路交通法に違反していないということになる。
PSCマークはこのマークがないと販売出来ませんよ、と謳っているのであって使用はしてもOK。ここが間違いやすいので要チェック。
海外のメーカーのヘルメットはPSCマークが付いてないものがあるがDOTやECEなどの認証がしっかり取れていれば使用に関しては心配しなくいいと思う。
ただ注意してほしいのはPSCマークのないヘルメットを乗車用ヘルメットとして販売したらアウトということを覚えておいてほしい。
また道路交通法7項目の中で具体的な数値として記載しているのは
・重量が二キログラム以下であること。
のみであり、他の項目は具体的には記載してない。(例えば 厚さ〇〇mmの衝撃吸収素材があり~等)
工事用のヘルメットをかぶって原付に乗っている人を見たことがあるが、道路交通法7項目に引っかかる点がない気がする。(そもそも乗車用ではないが)
野球のヘルメットは、衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。に違反している。(まあ、これは見たことがない)
そもそも乗車用ヘルメットではないからやっぱり違反になると予想できる。バイクにのるならバイク用のヘルメットを着用するのがベター。
装飾用ヘルメットって?
装飾用ヘルメットという言葉をきいたことがあるだろうか。
安全規格の話でもあった通りPSCマークがないと国内で乗車用ヘルメットとして販売出来ない。
なのでPSCマークを取得していないヘルメットは乗車用ではなく装飾用ヘルメットとして販売されている。
大体の謳い文句は
このPSCマークを取得していない理由は2つ考えられる。
- 海外のメーカーのヘルメットを輸入販売しており、単にPSCマークを取っていないだけ。
- PSCマークを取得できる構造ではないため。
一つ目の理由の場合、有名なメーカーの物であるなら海外の信頼できる安全規格(DOTやECE等)を通っている事がほとんどなので安全面に関してはあまり心配にならなくてもいい。
二つ目の理由の場合、かなり危険な構造になっているので注意が必要。この画像を見てみると
左が装飾用ヘルメット、右がSG・PSCを通ったヘルメット。
同じジェットタイプでもこの違いがある。
この違いはヘルメット内部のクッション材の有無。見てわかる通り右の装飾用ヘルメットにはほとんどクッション材が入っていない。
ヘルメットの種類と特徴の話の中でシステムタイプのデメリットとしてヘルメットが大きく頭でっかちになってしまい見た目がよろしくない、と述べた。
ヘルメットは帽体が小さいとシルエット的にもカッコ良く見えるが、それをPSCが取得できなくなるほどに突き詰めたのが装飾用ヘルメット。
装飾用ヘルメットで検索してみるとたくさんの商品が販売されている。
正直興味を持ってしまう変わったデザインが多い。
そして商品ページで先にも言った「このヘルメットは乗車用ではありません。公道での使用はお控えください。」の説明文が見られる。正直いったいどこで使えばいいんだろう。(コスプレとかかな)
しかし実際に装飾用ヘルメットらしきものをかぶっている人を見かけるが装飾用ヘルメットが原因で捕まったという話も聞いたことがない。
正直パッと見ただけでの判断はとても難しいかもしれない。または乗車用ヘルメットの基準7項目の内容では検挙が難しいのかも、はたまた暗黙の了解なのだろうか。
もし機会があったら実際に触れてみて頂きたい。装飾用ヘルメットを被って何かあった時を想像してもらえば正しい判断が出来るはず。
バイク乗りのノーヘル率は38.5%
最後にこれを読んでいただきたい。
オートバイの歴史を豊富な知識と飽きさせない巧みな文章で教えてくれるバイクの系譜さんの豆知識のページの一つ。
ネタバレしてしまうとオートバイによる死亡事故のうち、ヘルメットが脱げて死亡した方の割合が38.5%もいたということ。
ヘルメットが脱げてしまったということはアゴひもをしっかりと締めていないということ。通しただけではダメです。ぎゅっとしてぱちってところまでしてください。
ちなみにこのアイキャッチ画像で使われているヘルメットはICON社製のフルフェイス 「AIRFRAME STATISTIC」 というヘルメット。
バイクでの事故の際、衝撃が加わるところをデータにした画像を元にデザインされたヘルメット。
ハーフタイプだった場合、61.4%の部分を守れていないことになる。
バイクに乗る際の心得
PSCがなくても大丈夫、道路交通法7項目に違反してないから大丈夫、装飾品でも普通に乗っている分には大丈夫、等と色々話してきましたがあくまでもヘルメットは自分の身を守る物ということを忘れないで下さい。
オートバイに乗る際はしっかりとしたヘルメットを着用してほしい。顎ひもをしっかり留めて胸部のプロテクターまで付ければ100点です。
決してこんな真似はしないように
終わりに
以上でお話は終わりです。
今回は公道を走る以上、頭に入れておいて欲しい知識を今回は話させて頂きました。
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それではまた別の話で。
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